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北本真隆個展
KITAMOTO MASATAKA solo exhibition

2011.6.18(sat)- 7.10(sun)
12:00-19:00 最終日17:00 木曜休館

ギャラリーコンサート 7.03(sun) 17:00-
ヴァイオリン:坪倉かなう
 ハープ:山徳理紗
詳細はこちらから
※この時間のみ有料となりますのでご了承ください
北本真隆  
KITAMOTO Masataka




関連データ

2010個展
2009デッサン展
2008個展


carré à zurich
carré à zurich 告知展
carré2009
carré2008


 絵画においては「抽象」と「具象」をまず区別されるのだが、その外側の判断基準においては、あるときを境に北本は変わったことになる。
それまでの彼の作品は、いわゆる「具象」であり、代表的なものとして大きなキャンバスいっぱいに、端正な人物を描いたものがある。しかし、2008年、金沢美術工芸大学の博士課程在籍中、学位取得の半年前の個展でのこと。このタイミングにも関わらず彼はあっさりとシフトした。具象的な輪郭はすべて姿を消し、先の判断基準からすれば「抽象」とカテゴリー化されたその変貌に周りは驚く。ただ、彼自身にはそれは当然の流れであったようにも思う。
あるとき絵を前に「何を描いたの?」と聞いた。簡潔すぎるくらい素っ気なく「風景。」とかえってきた。それだけでは物足りない私の様子に、少し困惑しながら「風景です。」と繰り返す。たぶん何度聞いても「風景」なのだろう。聞くことを諦めた私は作品と対峙する。確かに北本の言葉はそれに尽きたかもしれない。描かれていたのは、彼がそこに見た光や色彩の混在、そこに感じたすべてであった。
北本にとっての抽象化とは、自身のイメージする場面を「具象」よりも更に鮮明にしていく作業なのではないだろうか。その対象に存在するすべて、目に見えない部分や、言葉では言い尽くせないと感じたそのものまで、ひとつひとつひろい集め、その形態を捉えていく。
北本の絵はいつもゆっくりと浸透してくる。(金田みやび)