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扇田克也 個展
昭和86年のわたし
OHGITA KATSUYA solo exhibition
2011.9.03(sat)- 25(sun)
12:00-19:00 最終日17:00 木曜休館
ギャラリーコンサート 9.18 (sun) 16:00- (開場15:00~)
ヴァイオリン:坪倉かなう
ギター:谷内直樹
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扇田克也
OHGITA Katsuya
扇田克也 HP
http://ohgita.com/
関連データ
個展(2010)
ART NAGOYA 2011
existence of TEN vol.3 (2011)
adagioー心地よい出会いー(2010)
61in3 + 1/8 (2009)
61in3 + 1/8 (2008)
昭和86年のわたし
激動の年であるやなしには関わらず造形家として何ができるのかが課題であります。今年に入り粘土を焼いて固めることを始めました。キャストガラスではかなわなかった造形の可能性が拡大し、頭の支配から手を解放できたことで素材へと向かう視線も変化してきました。
昨年はノーベル文学賞に最も近い日本人村上春樹の長編を読み返し、いくつかの小説からインスピレーションを得ました。「偶然の大地」と「海に降る雨」はそんな作品です。3月のはじめに制作を始め、2点の作品の原型が完成し耐火石膏を溶いてキャスト型に取りかかろうとしてぼんやり聴いていたNHK-FMの音楽が突然中断され緊急地震速報が流れ報道スタジオからの放送に切り替えられました。その揺れがただならぬものであることが伝わりすぐにTVをつけました。そこには川を遡り、美しい畑やビニールハウス、家や道路を飲み込んでゆく大津波の現実とは思えない姿が映し出されていました。ふたたび作業に戻れるまでかなりの時間をTVにくぎづけとなりました。作業を再開した後もラジオで地震と津波の情報を聴き続け、さらにそこに原発の事故が加わりました。そのようにして完成した2点の作品は村上春樹の小説から得たたイメージでありながらも、わたしにとっての3.11メモリアルとなりました。
そしてその後のわたしは・・・。
4月は愛媛の新居浜へと旅をした。コレクターの方のお宅の巨大なスピーカーでフルトヴェングラー指揮の第九をアナログ盤ではじめて聴かせてもらった。重厚で力強い音楽に、耳の奥の方がぐっと拡がったように感じた。
5月に訪れた東京は節電のために夜が暗かった。
6月には高知へ旅をした。瀬戸内の明るく静かな海と島々。讃岐のおにぎり山。おおぼけこぼけの渓谷を縫う列車。緑のトンネル。そして南国土佐。路面電車。はりまや橋。喫茶店ラ・メールのあんぱんとコーヒー。かつおのたたきにんにくスライス。金券ショップの切手。銭湯。居酒屋葉牡丹。昭和レトロな映画館あたご劇場で観た韓国映画。高知は昭和の風情が色濃く残る街でとても気に入った。
Facebookに6月デビューするや7月にはすっかりヘヴィーユーザーに。しかし未だ携帯電話は持たず。念願の早起き生活をFacebookで実現。Facebookはそのほかにも前向きな変化をたくさんあたえてくれた。
8月、ART NAGOYA 2011へチームで乗り込んだ。久々に階段を一段のぼったように感じた。はじめて世界の山ちゃんで手羽先を食べた。
日常的、非日常的なあれこれが有意識的、無意識的に制作に何かをもたらせてくれる。じぶんにできることをやるだけ。それだけ。
昭和はなにかあたたかいものを感じさせてくれる時代だ。そんなに遠くはない経験したことのある時代。なにも知らなかった無邪気な時代。そんな時間軸の中にわたしのアイデンティティーはあるようだ。
今年は世界にもわたしにも大きな変化があった。その変化はこれからさらに今までとは異なるところへとこの身を連れて行くのだろう。 (扇田克也)
HOUSE OF PALE
偶然の大地
HOUSE
水玉PLANET
CASA
海に降る雨
HOUSE