大きな物語の失墜がただちに僕らの自由を担保していないことは、真摯な制作者には自明の事。時に伝統的な、時にメディアが作り出す価値観が、制作を縛る。ちょっと気を抜くと物語たちは頭をもたげる。
社会的な周縁に潜み、それらをやり過ごすのが最近の流行。だけどそれはただのフリ。自由の演技。ホントはみんなどっぷり泥沼に漬かっているのに。もし本当に演技じゃないなら、そいつは不感症か、まったくの子供だね。
「もっとチープに!!」
彼女の部屋に貼られた小さなメモ。それは物語への宣戦布告。自由を勝ち取る強い意思。わかりやすすぎて、ちょっと笑えるけど、彼女の真摯な制作姿勢の動かぬ証拠。
ちゃんと画面と向き合ってるからこその千方百計、百花繚乱。これこそアートの玉手箱や〜!って感じの作品たちを是非お楽しみください。
明星大学造形芸術学科
助教 土田 俊介