"夏の制作ノート" から
<めぐる雨>
はるか遠く、山並みの上空に黒い雨雲が垂れ込めている。
その雲と山々の狭間の空を、薄雲をひいた様に雨が落ちる。
山に、台地に、街に、原に雨が降る。
地を這いながら、浸み込みながら、幾筋もの流れの線が少しずつ集まり小川に、河に流れ込み、海へと旅をする。やがて陽の光に温められ微細な粒子となって、再び空へと軽やかに舞い上がる。
<尽きない興味>
・果たして雨はどれだけの時間をかけて地上に降り立つのだろう。
・雨の落下スピードはどのくらいなのだろう。
・大地との衝撃の大きさは、音はどうだろう。
・雨粒の質量は、温度はどうだろう。色はあるのだろうか。
・雨はどのような形をしながら旅を続けてくるのだろう。
夜半に降り出した久しぶりの雨に覚醒され、雨音のする漆黒の世界に想いを馳せながら・・・
2010年 10月 土井宏二