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イヴの茶会
2007年12月24日
於 中村記念美術館 旧中村邸


茶会風景
会記 Lists

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待合 waiting room

掛物    グスタフ・クリムト「読書する婦人」   鉛筆画
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二階廊下 leading to the tearoom

オブジェ  久世建二「落下・痕跡シリーズ06」   陶
墨象    金田和子「在」             墨

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本席 tea ceremony room

床     吉原治良「無題(Untitled)」       油彩
花     季のもの
花入    久世建二「落下シリーズ90」
脇棚    山村慎哉 卵殻家形小箱「白の家」    漆
      原 智 杢目金香炉「波紋」       鍛金
書院    原 智 「亀透文様香合」        鍛金
台子    真塗
風炉    宮崎寒雉「銀杏透切合風炉」
釜     宮崎寒雉「霰真形釜」
皆具    中川 衛「木々」            彫金
薄器
茶碗 主  久世建二 「玄」
   替  板橋廣美「KANAZAWA」
   替  戸出雅彦「ジョン絵碗」
茶杓    灰外達夫「宴」             黒柿
水次    GORHAM                銀器
御茶    「華の精」               上林詰
菓子    「DREAM」               吉はし製
菓子鉢   Tiffany , GORHAM            銀器
懐紙立て  清朝                   七宝
メインゲスト・マーク 扇田克也「HOUSE」      ガラス
盆     名雪園代「黒漆耳付盆」         漆
空間    金田和子「会」             墨象
音楽    ルドヴィート・カンタ「バッハ・無伴奏チェロ組曲2番」

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点心席 black tea and light meal

床     イコン
花     季のもの
花入    エミール・ガレ「ラン文花瓶」
違棚    出和絵理「無題(Untitled)」       磁土
点心                        はざま製
紅茶    MARCO POLO          MARIAGE FRERES
久世 建二
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陶造形家
金沢美術工芸大学学長
落下シリーズ 90
陶 焼成温度1,260℃ コバルト系黒マット釉 金彩焼付け800℃
485 × 340 × 195(h)

柔らかい陶土の塊から分厚い側壁の箱型状の形をワイヤーで切り出
す。その時点の重量は約30kg。木の板の上に乗せて自分の胸の高
さに持ち上げて一気にコンクリートの床にたたきつける。
一瞬にして形が決まる。土と万有引力が作った造形である。
落下・痕跡シリーズ 06
陶 焼成温度1,260℃ コバルト系黒マット釉
1020 × 590 × 90(h)

形態の元は人型であった。このシリーズ全部で30点は作っている。
近年身内を亡くしたり親しかった友人を失ったりとつらい思いが重
なっていた。シリーズの始めはその鎮魂の意味もあった。直角に切
り出した十字形の無機的な土の塊が落下した瞬間に有機的な表情を
示す。それぞれが懐かしい人達の表情と重なる。
土は無尽蔵に造形を記憶している。

金田 和子
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書家(墨象)
ギャラリー点 主宰

松煙墨10種 中国画宣紙
5130 × 1700(h)

墨も紙も共に長い年月をかけて寝かせたもの。それらからは墨色の
冴えを表出する条件であり「黒」という単色の中の無数のバリエー
ションを生む。10種の墨がそれぞれの発色を放ち、隣り合う墨と
墨の個の出会いに共鳴した墨色の顕れ。

松煙墨 中国画宣紙
800 × 1700(h)

墨と時間との表現。墨は一種。そこに存在する時を隔て幾度も重ね
合わせ面を結ぶ。
中川 衛
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金工作家
重要無形文化財保持者
金沢美術工芸大学工芸科教授
皆具 木々
水指 赤銅・銀
160 × 160 × 220(h)
杓立 銀
62 × 55 × 160(h)
建水 銀・赤銅・銅・四分一
137 × 137 × 65(h)
蓋置 銀
55 × 55 × 55(h)

蓋置(3・4角)から杓立(5・6角)建水(7・8角)水指(9・丸)
と角数を増していっている。 加飾は木をモチーフに、彫金技法の
毛彫り、透かし、切嵌、象嵌でつけている。
原 智
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金工作家
金沢美術工芸大学工芸科准教授
杢目金香炉「波紋」
銀・四分一・黒味銅・銅
300 × 80 × 90(h)

杢目金とは数十枚の異なる板金を積層し、削りだし文様を浮かび上
がらせる技法である。色金(いろがね)によって生まれる色調は独
特の空気を生み出し、金属が本来持つ魅力を更に引き出す事となる。
本作品では杢目で押し寄せる波を表現し削り出しで造られた亀は
悠久の時を表す。
亀透文様香合
銀・黒味銅・銅
80 × 80 × 60(h)

蓋には銀と銅で表現した杢目文様を使用し、身には亀をモチーフと
した透かし文様を側面に入れた。銀の白と黒味銅の黒が作る世界を
表現した。
山村 慎哉
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漆工芸家
金沢美術工芸大学工芸科准教授
金銀鞘塗中棗
素地 水目桜 
加飾 金・銀・梨地漆
68 × 68 × 72(h)

変塗の仕掛けに金、銀粉、板金を使用し季節がら雪と月のイメー
ジを意匠化した。伝統技法を用い構成的な意匠を表現することで
現代的な感覚の作品作りを目指した。
卵殻家形小箱「白の家」
素地 檜材 
加飾 卵殻
160 × 55 × 80(h)

変形した家形の小箱に縦の縞紋を卵殻で表現した。
卵殻の白さを生かした明るいイメージと現代的な感覚の作品作りを
目指した。
坂本 英之
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空間構成
建築家
金沢美術工芸大学環境デザイン科教授




板橋 廣美
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茶碗制作指導
陶造形家
金沢美術工芸大学工芸科教授 




茶碗制作
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金沢美術工芸大学工芸科
清水 香 (博士1年) 出和 絵理(修士2年) 藤原絵里佳(修士2年)
真下 敬子(修士2年) 阿曽 藍人(修士1年) 大久保陽平(修士1年)
吉村真理子(修士1年) 阪井ひとみ(学部4年) 大上 裕樹(学部3年)
太田紗耶子(学部3年) 神谷 麻穂(学部2年) 阪本 航 (学部2年)
四井 雄大(学部2年) 高島 未帆(学部2年)
イセ文化基金 所蔵
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吉原治良 よしはらじろう(1905/大阪-1972/兵庫)
無題(Untitied) 制作年 1970年頃
油彩・画布 730 × 655
吉原治良は、戦後日本美術を代表し国際的にも高い評価を受けている前衛美術集団「具体美術協会」のリーダーとして知られる画家である。シュールレアリスム、抽象表現主義などの時代を経て、晩年は悟りの境地を思わせる円を繰り返し描くようになり、黒を塗り込み白地を塗り残す手法で白い円を浮かび上がらせた円型を主題とした連作で注目を集めるが、本作品もそうした連作の一つである。吉原は自身の「円」について、その形態への追求の深さを示すかのように、「一つの円も満足に描けない」と語るが、実際、それらの「円」には、一つとして同じものはない。
グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862年 - 1918年)
読書する婦人  制作年 1908年
鉛筆・紙 543 × 365
金細工師の息子としてオーストリア・ウイーンに生まれ、同地の芸術工芸学校を出て、弟と共同で芸術的装飾の事業をはじめる。弟の死後、しばらくは絵画から遠ざかるが、1892年ウイーン分離派を設立して初代会長となり絵画制作を再開する。アール・ヌーヴォー様式を取り入れた独自の様式を展開するなど、世紀末のウィーンで新しい芸術の波を先導し、多くの非難や中傷を受けながらも、みずからの表現を追求し続けるなど、徐々に彼の作品はみるものを虜にし、現在最も人気のある画家のひとりになっている。また、すぐれた素描画家としても認められている。
エミール・ガレ(Emile Gale, 1846年 - 1904年)
ラン文花瓶  制作年 1898年頃
ベルル・メタリック、グラベール 515(h)
フランス・ナンシーにガラス、製陶業を営む家に生まれる。2度のドイツ留学後、1872年に同地に自らのガラス工房を開き、この地をナンシー派アール・ヌーヴォーの一大中心地とする。繊細な花や植物を象徴主義的な抒情性のなかで造形化した作品と、被せガラス、エナメル彩ガラス、エッチングなどの完成された技術によって、ガラス工芸史上特筆すべき地位をしめる。また器形、装飾文様にも日本美術の影響が多く取り入れられている。
古美術・大谷 所蔵
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イコン 18世紀 ロシア
250 × 350(h)
イコンとは、キリスト教において神や天使や聖人を記念し象徴として模られた絵や像で、敬拝(崇敬)の対象とされるもの。
古楽屋 所蔵
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灰外達夫 木工家

現在他では見ることが難しい黒柿削りだしの茶杓。灰外達夫の造形美がこの小さな形の中に凝縮されている。
ギャラリー 点 所蔵
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扇田克也 ガラス造形家
HOUSE 制作年 2005
ガラス 80 ×83× 95(h)
独特の肌合いにより形成された外観より差し込む光を大切に抱擁するかのような、古代ガラスを用いた鋳造による作品。