galleryten.net
copyright(c)2006-2008 gallery点 all rights riserved
山本健史個展
ー土の相と質ー
2008年6月18日(wed)ー6月29日(sun)
13:00ー19:00 会期中無休
山本健史
YAMAMOTO Takeshi
 私は過去20年近く陶で作った複数の異質なモノを鉄でできた箱に詰める作品を作ってきた。
勿論長い間には紆余曲折があり、その事から離れる事もあったが。
 数年前のある出来事がきっかけで、作品に私個人の思考を強く反映させたいと願うようになった。そして2007年4月、金沢に制作の場を移した。金沢での制作生活には素材の匂いが濃く立ちこめており、そんな場での制作時間が増えるとともに、私の思考と出来上る作品の意味について深く考えざるをえなくなった。
私は個人の思考と箱に詰められたモノが持つ意味、あるいは箱に何かを詰めるという行為が持つ意味が曖昧になっている事に気づく。私には、私が表現したいと考える事について、或いは素材を選択し作るという意味をもう一度深く考える必要があった。

 箱から離れた作品である。 自然あるいは大地をイメージした作品である。自然は私たちに多くの幸福を与えてくれる。同時に人間にはどうしようもない、ひどく冷徹な側面を持った森羅万象の世界に私たちは暮らしている。日頃見る穏やかな緑に包まれた山々の肌ではなく、不毛な大地を思う時、私の表現したい世界に近い気がする。生命の意味を自分自身にも問いかけるような作品を作りたいと願っている。
 その形に何か冷徹な強さを感じている。私たちが日頃見ている自然の状況だけでない何かが感じられないか。形態の成立のさせ方を含めて模索は続いている。
                陶造形家 山本健史
配列される宇宙の真理について

何万光年もの先の宇宙から、地球に届く光の中にある真理の配列をひもとくように、
それぞれの作品(今、かりにこれをオブジェと呼ぶことにしよう。)は空間しかるべき
位置に静かに配されるに違いない。それぞれのオブジェが完成された作というよりは
むしろ、ある韻律の下に、形、色、肌とさまざまな表情を表出しなら、その絶対的な
場所を探し求めて動き、最後の場所を獲得しようとする。つまりそれらは山本の創造
界のひとつの要素ではあるまいか。オブジェたちが最後の場所を得たその一瞬に、星
の瞬きのように煌めき、山本の世界は全体として成るのである。このときこの配列は
宇宙の真理と相似形に見えるはずである。                  
       
               美術評論家 金沢美術工芸大学教 小松崎拓男

金沢経済新聞