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笹川健一個展 -imitation-
SASAKAWA KENICHI solo exhibition -imitation-
2013.3.30(sat)- 4.21(sun)
12:00-18:00
木曜休館

笹川健一 
SASAKAWA Kenichi
-imitation-

自分が作品表現をする時に、その作品を歴史のどの部分に位置づけるべきかを考えることは重要です。
私にとってはガラスを扱うこと、また日本人として何を作るかがそのヒントになっています。
日本には小さな物、生活の周辺、自然、気配といったものに美と精神性を宿すことが出来る文化があります。
つまり近代以降に始まった輸入式の美術よりも、工芸史や民俗学といったジャンルを観察することで日本人の美意識や造形思考を探ることが出来るように思います。

imitationとは模造の意です。
器の世界、とりわけガラスにおいてはヨーロッパ・日本を問わず他の素材の形状の写しというのがよく見られます。
ヨーロッパにおいては金属器、日本においては陶磁器が主に模倣の対象になったようです。
これにはガラスを比較的自由に扱えるようになったのが他の素材より遅れていたからなのか
上位の素材に対する憧れのようなものを感じずにはいられません。
特に日本においては土器からスタートしたやきもの文化は絶対的なものです。
ガラスの世界ではいまだにフォルムや表情などで陶芸を追いかけているようなものをよく見かけます。
また、ガラスは宝石の模造として扱われてきた歴史があります。
今回の展示ではそういった模倣する歴史、他の素材への憧れのようなものを造形の要素として用いることでその歴史を取り込めないかと考えました。
そうすることでこれらの作品が工芸史の延長に接続する、あるいは日本特有の価値観として
美術史のある特異点に舞い降りることが出来るのではないかという試みです。

2013 笹川健一