藤のツルが螺旋を描きながら伸びゆく姿
流れるように飛び交うツバメたちの残像
屋根の上を軽快に走り去っていったイタチの足跡
澄んだ小川の底に映る魚たちの影
自然豊かな南砺の地に移り住み6年が経つ
美しい田園風景に囲まれ、はるか続く山並みを眺める
我が家の庭には色とりどりの花や植物が咲き
様々な野鳥たちがやってくる
農家に生まれた私にとって、あたりまえだったはずの光景が
こんなにも鮮やかに映るのは何故だろう
ここに暮らし、長い間忘れていたものが甦える
その心象を辿っていこう
強さとしなやかさを持つ楓の木は
心に焼き付いた自然のラインを描くのに相応しく
漆の深い黒とその艶やかさは人の記憶の輪郭を映し出す
2010 村田佳彦