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2009.7.24(fri)-8.05(wed)
12:00-19:00(最終日17:00)木曜休館
夢で同じ場所に何度も訪れたことはないだろうか?
行った事のないような場所
実際にはありえないシチュエーション
なのにまるで体験した様に何度も繰り返し夢にみる。
それはきっと幼い頃から印象に残った一瞬一瞬を
かき集めて構成され直した
自分の心象風景なのかもしれない。
実際には存在していなくても
ある意味存在していると言える景色。
私はこの世界でバラバラにされてしまっている
私の懐かしい風景のパーツを
少しずつ集めようとしているのかもしれない。
2009 服部睦美
ある日「大型バイクの免許をとろうと思う」と服部が言った。何週間後にはすでに大きなバイクにまたがる彼女の姿があった。
思い立ったら突っ走り、この人は絶対にやり遂げる。彼女の作家としての姿勢も常に同じだったように思う。それらを見てきて13年、私は教わることばかりだった。
服部の仕事は、何種類もの異なる金鎚を用い、銅などの板を叩いて形成していく鍛金という技法で制作される。糸鋸を使って切り抜かれた部分、化学反応による着色や金箔の加飾、木彫刻を施した箇所など、服部の世界観を作り出すための多くの手法が常に一つの作品に駆使されている。
完全なエスキースから設計図を起こし、長い時間をかけてそれらは作り上げられる。そういった丁寧な過程や確かな技術の裏付けがあってこその作品の安定感なのだろう。
それだけではない。彼女の作品からは観賞者が様々に想像を巡らすきっかけを引き出してくれる。
アートの持つ力とはそういうことなのかもしれない。
あるとき彼女が言った「恋愛みたいなものかもね」。
視線の先に在るものであるが、何よりもその心の揺さぶりを起こしてくれるもの。
そんな感覚を大切にしながら一つ一つ形作られてきた服部の作品は、そういう彼女自身の投影であると私はいつも思う。
ギャラリー 点 金田雅