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2009.4.10(fri)-4.22(wed)
12:00-19:00(最終日17:00)木曜休館
オープニングパーティー 10日18:00〜20:00
素材遣いの名手 山村慎哉さんの仕事
掌中で慈しむように生み出される山村作品ならではの漆工の美。視覚が触覚にそのまま繋がっているような造形が、一つひとつ完結した鋭い存在感を主張している。作者の「漆の装藝」素材と技法とは、すべて歴史が多用してきたものばかりなのに、この人の手にかかると新鮮な芳光を放って、別物のような豊かな表情を醸し出す。そして、絶妙な“小ささ”の堅固な構築性は、今という時代に感応させた漆工のかがやきを、独自の浸透膜を通して結晶化させる過程のなかにこそあるように思われる。加飾材料との格闘やあしらい方の模索のなかで作者が掬い取る洗練された決断には、素材遣いの名手にとっての矜持があるに違いない。構想する仕事の素材を整えている最中なんかは、きっと、この人にとって至福の刻なのだろう。素材への愛着の情が活き活きと作品世界に映り込んでいる。
これしかない磨かれたかたち、ところを得て装われる加飾材料。山村慎哉は、漆工を新たな創作宇宙のかなたへと軽やかに解放させてみせる、自然体の技巧派作家である。
金沢学院大学教授 山崎達文
卵殻蒔絵重小箱
58mm×58mm×123mm
素地/桧材
加飾/卵殻、金粉、銀粉
金蒔絵象牙曲香合
130mm×58mm×46mm
素地/桧材
加飾/金粉、象牙
朱暈小合子
70mm×70mm×65mm
素地/欅材
加飾/朱漆
長方型耀貝小箱
52mm×52mm×63mm
素地/欅材
加飾/メキシコアワビ貝、金粉
螺鈿金蒔絵小合子
58mm×58mm×123mm
素地/桧材
加飾/金粉、アワビ貝